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保育課程と自己評価の関連のさせ方について 改定保育所保育指針 第4章「保育の計画及び評価」

保育の計画を作成する時、既に評価の視点も考えられているといえます。
例えば、「一人一人の子どもが安心感をもって過ごせるようにする」と計画に盛り込んだ際、子どもが安心して過ごせるような環境の工夫、保育士の対応の仕方、子ども同士の関わり、保護者との連携などを視野に入れて具体的な保育の内容を考えていきます。
そして、子どもの気持ちの変化や言動などから保育を振り返り評価することができます。
環境の工夫はどのような効果があったか、保育士の声のトーンは適切だったかなど、多様な視点で保育を捉えることにより、保育士の課題や良さが見えてきたり、それらを基に保育の見直し、改善が図られていきます。
こうした具体的な指導計画の評価を積み重ねることで、保育課程の評価が成されていきます。

保育課程を編成する際にも、当然のことながら保育の着眼点や評価の視点が踏まえられたものになっていくでしょう。

これまでも保育所では常に保育を反省し、課題を持って保育に取り組んできたのですが、今回の保育指針の改定により、さらに全職員で保育課程を編成し、その内容に基づく指導計画、指導計画に基づく保育実践を振り返り、自己評価することが重要となりました。

保育課程に基づく指導計画、保育実践、自己評価、そして、指導計画や保育課程の見直し、再編がより意識的に、体系的になされることで、保育士の専門性、保育の質の向上が図られると考えています。

改定保育所保育指針 Q&A50

保育課程の編成や指導計画作成の留意点について知りたい。 改定保育所保育指針 第4章「保育の計画及び評価」

保育課程や指導計画による保育実践を自己評価し、計画の見直しにつなげることが、保育の改善や保育の質の向上につながります。

そのため、指導計画に基づく保育実践を振り返るとともに、指導計画の根幹である保育課程を全職員で見直し、明らかになった課題などを保育課程に反映させていくことが重要です。

また、保育課程や指導計画を作成する際、評価の視点や着眼点を視野に入れることで、その後の振り返り、自己評価、計画の見直しや再編につなげていきます。この一連の流れを保育所において意識的に取り組むことが保育の質の向上につながると考えられます。

保育課程や指導計画の様式は保育指針やその解説書において示していません。保育指針の内容や趣旨を踏まえて、それぞれの保育所で全職員で協議して編成していくそのプロセスが大事であり、保育所の特性や地域性などを生かして創意工夫を図っていくことが重要です。

その取組の中で、保育を捉え直したり、職員間の一層の共通理解を図っていくことが保育の質の向上につながると考えられます。各市町村の関係者で「様式」を検討したり、保育団体等の研修会で保育課程の編成などについて行うものもあります。

保育課程、指導計画だけでなく、児童票や今回の改定で義務化された保育要録など、様々な書式の検討をそれぞれの記録のつながり、重なりを考慮して関係者が協力して作成していくことが望ましいと考えています。

改定保育所保育指針 Q&A50

保育所保育の全体像を描き出す保育課程とは? 改定保育所保育指針 第4章「保育の計画及び評価」

保育課程は、保育所保育を包括的に捉え、保育所の理念、方針、子どもの発達過程や保育内容などを一貫性を持って描き出した保育所保育の憲章的なものといえます。

保育所はこの保育課程を保護者や地域社会などに向けて発信し、保育所が果たすべき機能や役割を打ち出すとともに、保育の内容やその意図を語り、乳幼児期の子どもの育ちの奥深さを伝えていくことが重要です。

また、保育課程は実際に保育士等が保育を進めていく上での基礎となるものです。保育課程が指導計画作成のベースとなりますし、他の様々な計画や自己評価の基盤となります。そのためにも、全職員で保育課程の編成に取り組むことが必要です。

保育課程を編成することによって、子どもの生活や発達の連続性が示されるとともに、保育の原理(保育の目標、保育の方法、保育の環境)を踏まえた保育実践が編み出されていきます。

そこには保育所の保育観、子ども観などが投影され、保育所保育が何を大事にしているのか、子どもの何を育てようとしているのかも提示されていきます。

改定保育所保育指針 Q&A50

2 章の発達過程と3 章の保育の内容を踏まえて保育課程を編成するとはどういう ことか? 改定保育所保育指針 第4章「保育の計画及び評価」

保育所では、保育指針の第1章の「保育の原理」(保育の目標、保育の方法、保育の環境)を踏まえ、全職員が0歳から6歳までの子どもの発達過程を理解し、その時期における保育のねらいや内容の基本的事項を把握することが必要です。

今回、保育指針は大綱化され、子どもの発達過程区分ごとのねらいと内容は示されていません。

そのため、第2章の「発達過程」と第3章の「保育の内容」を確認しながら、保育所での実際の子どもの姿を捉えて、各保育所で具体的な保育のねらいや内容を紡ぎ出していくことが求められます。

例えば、養護に関わるねらい8項目と教育に関わるねらい15項目を発達過程に沿って作成し、そのポイントを構成し直したものが、保育課程に生かされることでしょう。

その際、3歳未満児の保育については、その発達の特性から教育に関わる5領域をそれぞれ明確に区分しないで記載するなど、各保育所での工夫が求められます

改定保育所保育指針 Q&A50

保育課程の具体的な内容、編成の仕方について知りたい。 改定保育所保育指針 第4章「保育の計画及び評価」

保育課程の編成は、施設長や主任保育士のリーダーシップの下、全職員が参画して行います。

まずは、既存の「保育計画」を見直し、改定された保育指針の内容に沿って見直し、検討していくことが必要です。

その際、保育課程がすべての計画の上位に位置づけられ、保育所保育の全体像を示すものとしてふさわしいものになっているかを、保育指針やその解説書を参考にしながら全職員で協議していくことが必要です。

平成21年4月の保育指針施行までにそれぞれの保育所の保育課程を編成し、それに基づいて様々な計画を作成し、保育所保育の構造化を図っていくことが重要です。

具体的には、児童福祉法や子どもの権利条約などの保育の関係法令等に基づいた保育所の保育理念、保育目標、保育方針などが提示され、0歳から6歳までの子どもの発達過程を見通し、それぞれの時期にふさわしい保育のねらいと内容を一貫性を持って組織することが必要でしょう。

各保育所の子どもの実態や子どもを取り巻く家庭、地域の状況などを踏まえるとともに、保育所の保育の環境や特性などを生かし、工夫して項目を設定していきます。保育所での生活がその後の子どもの生活や学びにつながっていくことに留意し、子どもの生活や発達の連続性を表すものとなることが重要です。

改定保育所保育指針 Q&A50

「保育計画」が「保育課程」に改められた理由について知りたい。 改定保育所保育指針 第4章「保育の計画及び評価」

保育所の全体計画である「保育計画」が、今回の改定により「保育課程」という言葉に改められました。

このことは、保育指針において、保育所の計画性、組織性を高め、その専門性や質の向上を図ろうとすることと深く関連します。

これまで、保育所では、保育士個人の経験や技量や持ち味により保育が行われてきた傾向があり、保育所の全体計画に沿って全職員が計画的、組織的に取り組むといったことに課題があったと考えられます。

また、保育の計画と保育計画の混同が見られたり、自治体が策定する保育計画との混同も見受けられました。

これらことを踏まえ、保育の質の向上をめざす改定保育指針では、全職員が保育所全体の保育方針や保育目標について共通認識をもち、それに基づき計画的に保育が実施されること、計画に基づく実践を振り返り、保育を自己評価して見直し、改善を図ることなどが重要なこととして規定されました。

そのため、保育所の組織的取組や保育実践の基盤に保育課程の編成を位置付けることにしました。

保育所には、長期、短期の指導計画、保健計画等々、様々な計画がありますが、すべての計画の上位にあり、保育所保育の根幹を成すものとして保育課程はたいへん重要です。

今回、その名称を改めることにより、保育所保育のすべての計画の上位にあり、全体像を示すものとして、全職員で編成し、保育所の計画性、組織性を高め、職員の共通認識を一層深めていくことの重要性を打ち出しました。

保育課程の編成とこれに基づく指導計画の展開において、保育実践を振り返り、保育を自己評価し見直すという一連の保育の改善のための組織的な取組が重要です。

また、保育課程に基づくこうした取組が、保育士の資質向上や保育所の説明責任の一層の発揮に資するものとなると考えます。

改定保育所保育指針 Q&A50

保育指針が幼稚園教育要領に近づいていると思われるが、その意図は何か。また、実際には増えている3歳未満児の保育をどう考えていくのか。 改定保育所保育指針 第3章「保育の内容」

保育指針では0歳から6歳までの子どもの育ちを保障し、保育所がより質の高い養護と教育の機能を発揮していくことを求めています。
幼稚園教育要領とは異なり、保育指針では、保育所における「養護」(子どもの生命の保持及び情緒の安定)の重要性にかんがみ、第1章「総則」に、「養護」に関わる保育の目標を定め、第3章「保育の内容」にはその目標を具体化する「養護に関わるねらい及び内容」を示しています。
また、同じく第3章の「保育実施上の配慮事項」では、乳児、3歳未満児、3歳以上児のそれぞれの保育に関する保育士等の配慮事項を定め、年齢や発達過程に応じた対応や援助について示しています。
さらに、子どもの健康と安全は子どもの生活の基盤であるとの考えの下、「健康及び安全」の章を独立して設けています。
そして、「保育所が子どもの健康の保持並びに増進及び安全の確保とともに、保育所の子ども集団全体の健康及び安全の確保に努めなければならない」とし、子どもの健康や安全の確保のための具体的事項を細かく規定しています。
子どもの生活の場である保育所が一人一人の子どもの心身の発育・発達状態を踏まえ、健やかな育ちを保障していくことは保育所の責任であり、保育指針では、保育所における健康及び安全の実施体制についても規定しています。
このように、保育指針には、0歳から6歳の子どもの命や心と体の育ちに関わる事項が多く盛り込まれ、幼稚園教育要領とは内容や構成が異なります。
保育所の特性を踏まえ、その役割や機能が適切に発揮されることが重要であり、0歳から6歳までのすべての年齢における保育の充実が求められます。
一方、告示化により、保育指針が大綱化されたことにより、保育のねらい及び内容が、発達過程区分ごとの規定ではなく、乳幼児期を通して経験し育つことが望まれる事項としてまとめて示されました。
このため、「教育に関わるねらい及び内容」は、幼稚園教育要領におけるねらいや内容とほぼ重なりました。
ここに規定されたねらいや内容を基本的事項として、子どもの発達過程に沿って各保育所で再構築していくことが必要です。
その際、第2章の「子どもの発達」における「発達過程」や目の前の子どもの姿を捉えながら、示されている保育のねらいや内容の趣旨を踏まえ、子どもの発達過程に応じた指導計画などを作成することが必要です。大綱化による創意工夫が期待されるところです。
また、第5章の「健康及び安全」の事項や、第6章の「保護者への支援」の内容等を踏まえ、特に3歳未満児の保育では、子どもの心身の状態に応じた個別の関わりや家庭との連携が重要です。
子育てに関する知識や技術を提供し、保護者の子育てを支援するとともに、保護者の養育力の向上に資する保護者支援が必要となってきています。

改定保育所保育指針 Q&A50

保育所における「教育」をどのように位置づけていくのか? 改定保育所保育指針 第3章「保育の内容」

保育所が子どもの発達過程を踏まえ、「子どもが現在を最も良く生き、望ましい未来を培う力の基礎を培う」(第1章総則「保育の目標」)ために、どのように保育していくのか、保育所における教育をどのように捉え、日々の生活や遊びを繰り広げていくのかはたいへん重要なことです。

保育指針では、「乳幼児期は、生涯にわたる生きる力の基礎が培われる時期であり、特に、身体感覚を伴う多様な経験が積み重なることにより、豊かな感性とともに好奇心、探求心や思考力が養われる」とし、「それらがその後の生活や学びの基礎になる」と、幼児教育の特性を明らかにしています(第2章「子どもの発達」1「乳幼児期の発達の特性」)。

子どもが十分に体を動かし、五感を働かせ、様々な経験を積み重ねることはたいへん重要です。好奇心旺盛な乳幼児期に、自然など身近な環境に関わって遊び、身体感覚を十分に働かせ、さらに興味や関心を育て、思考力や認識力の基礎を培うことは、子どものその後の生活や学びにつながっていきます。

また、第3章「保育の内容」の「3歳以上の保育に関わる配慮事項」にもあるように、保育所が「幼児期にふさわしい生活を通して、創造的な思考や主体的な生活態度などの基礎を培う」ことは、保育所における教育の視点といえます。小学校の教科学習の前倒しのようなものではなく、保育所の環境、すなわち、保育室、園庭、遊具などの物的環境や保育士、友達などの人的環境、さらに自然や地域の環境などを通して、子どもの生活や遊びが豊かに展開していくよう保育することが重要です。

このように、保育士が乳幼児期の子どもの発達を見通し、保育所の環境や様々な活動によりその発達を援助していくことが保育所における「教育」であり、第3 章「保育の内容」においては、「教育」を「子どもが健やかに成長し、その活動が豊かに展開されるための発達の援助」と定義しています。

これまでも、保育所における保育は、特定の知識や技能の修得に偏ることなく、子どもの生活や遊びを通して子どもが楽しく充実感を味わうことができるよう配慮して行われてきました。
また、子どもの主体性を重視して、保育所の生活全体を通して、様々な習慣や知識、態度、心もちといったものを大人から子どもへ受け渡してきたといえます。

今回の保育指針において、これまで保育所が積み重ねてきた保育実践をより自覚的に捉え、その内容や意義について明確化することを求めています。
保育所が乳幼児期の子どもの育ちを支えているということを改めて見直し、子どもの発達や生活の連続性に配慮して見通しをもった保育をしていくことが重要です。

改定保育所保育指針 Q&A50

保育所における養護と教育について詳しく知りたい。 改定保育所保育指針 第3章「保育の内容」

保育指針の改定に伴い、昭和23年に制定された児童福祉施設最低基準第35条の「保育の内容」も改正されました。
すなわち、「保育所の保育の内容は養護と教育が一体的に行われるものとして、その内容については厚生労働大臣がこれを定める」とされ、これに基づき保育指針が今回、厚生労働大臣告示として定められたのです。

しかし、実際には昭和40年に初めて制定された保育所保育指針の総則にも「養護と教育が一体となって、豊かな人間性を持った子どもを育成するところに、保育所における保育の基本的性格がある」と書かれており、養護と教育の一体的展開は長い間、保育所において実践されてきました。
また、既に昭和38年に「保育所における3歳以上の幼児の保育については幼稚園教育要領教育要領の内容に準じること」と、文部・厚生両局長通知により明らかにされています。

保育指針はこれまで、保育の内容については、幼稚園教育要領に準じてその整合性を図ってきました。また一方、保育所における子どもの健康と安全など、養護に関する内容も盛り込まれ、保育所保育の特性を打ち出してきたといえます。

今回の改定ではさらに「養護」と「教育」の定義をより明確にし、0歳から就学まで全年齢を通じて養護と教育の視点をもったねらいや内容が示されました。年齢により分断せずに、発達の連続性を大切にしながら保育指針の大綱化を図ったといえます。

また、実際の保育においては、養護と教育は切り離せるものではないことを踏まえた上で、保育士等が自らの保育をより的確に把握する視点を持つことが必要であり、保育を振り返り評価する上でも養護と教育の視点を持つことは保育士の専門性として重要であるとされました。
その上で、一体的に行われる保育の意義を理解、認識することが重要です。
保育指針の解説書では、「養護と教育が一体的に展開されるという意味は、保育士等が子どもを一個の主体として尊重し、その命を守り、情緒の安定を図りつつ、乳幼児期にふさわしい経験が積み重ねられていくように援助すること」としています。

大人の保護や世話を多く必要とする乳児や低年齢の子どもだけでなく、子どもの生活環境や保護者の状況が変化している現在、保育における「養護」(子どもの生命の保持及び情緒の安定を図るために保育士等が行う援助や関わり)は全年齢においてたいへん重要です。
また、学校教育の前倒しではない保育所ならではの乳幼児期の「教育」(子どもが健やかに成長し、その活動が豊かに展開されるための発達の援助)を積極的に捉え、その内容を充実させていくことも保育所の課題です。

養護と教育が「相互に関連を持ちながら総合的に展開される」保育の質を高めていくことを保育指針では求めています。

改定保育所保育指針 Q&A50